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第6章 40代からのふたりの時間

⏱ 読む時間の目安:約6分

年齢を重ねると、からだも気持ちも、ふたりの関係も少しずつ変わっていきます。それは「終わり」を意味しません。ふたりの時間の形が変わっていく、ということです。この章では、40代ごろから起こりやすい変化と、その付き合い方をまとめました。

更年期に起こること

産婦人科の医師の学会(日本産科婦人科学会)によると、日本人女性の生理が終わる(閉経する)平均の年齢は、50歳前後です。閉経の前と後の5年ずつ、あわせて10年間を「更年期」と呼びます。この時期には、女性の体の働きを整える物質(女性ホルモン、エストロゲン)が、ゆらぎながら減っていきます。そのため、ほてりや汗をかきやすくなること(発汗)、疲れやすさ、気分の落ち込みなど、さまざまな症状が出ることがあります。閉経の時期は人によって大きくちがい、40代前半の人もいれば、50代後半の人もいます。

乾燥や痛みは「よくある変化」

エストロゲンが減ると、外から見える性器(外陰部)や、腟の内側のやわらかい膜(粘膜)が薄くなり、乾きやすくなります。そのため、触れられたときの痛み、ひりひりした感じ、トイレが近くなること(頻尿)などが出ることがあります。これらをまとめて、閉経にともなう、性器とおしっこの通り道の症状(閉経関連泌尿生殖器症候群、GSM)と呼びます。

北アメリカの閉経の専門家の学会(北米閉経学会)は、2020年に考え方(見解)をまとめました。それによると、GSMは閉経後の女性の約27〜84%にみられます。軽い症状の多くは、医師の処方がいらない、うるおいを保つためのもの(保湿剤)や、すべりをよくする液(ローション)で、十分に楽になるとされています。中くらい以上の症状には、医師が出す、腟に使う少ない量のエストロゲン(低用量エストロゲン)などの選択肢が示されています(Faubion ら, 2020)。専門家が文献を広く見て評価したものです。ただ、北アメリカの医療を前提にした考え方なので、日本で使える薬の種類とはちがいがあります。

ホルモンをおぎなう治療(ホルモン補充療法、HRT)や、腟に使うエストロゲンの薬(エストロゲン製剤)は、医師の処方が必要です。持っている病気(持病)や、これまでの治療によっては使えない場合もあります。自分だけで判断して、海外から個人で取り寄せる(個人輸入)などはせず、女性の体をみる診療科(婦人科)で相談してください。

感じ方や体力の変化

うるおうまでに時間がかかる、感じ方が変わった、前と同じ姿勢だと疲れる、という変化も起こることがあります。

ふたりの関係の変化

アメリカ・マサチューセッツ州で、結婚している中年の女性同士のカップル16組と、男女のカップル16組に、じっくり話を聞いた研究があります。どちらのカップルも、年齢とともに性の回数が減ったと話していました。女性同士のカップルでは、体重の変化や親の介護、ふたりで一緒に更年期を迎えることなどが、影響として語られました。そして、関係を保つために、意識して努力している様子が見られました(Paine ら, 2019)。深く話を聞いているのが強みです。ただ、人数が少なく、参加者は社会的に比較的めぐまれた人にかたよっています。

回数が減ることは、関係が冷えたことを意味しません。手をつなぐ、マッサージをし合う、一緒にお風呂に入る、抱き合って眠る。性器に触れない時間も、立派なふたりの時間です。「今の自分たちにちょうどいい形」を、話し合いながら選び直していきましょう。

変化を感じたら、ひとりで抱えずに言葉にしてみましょう。「最近こうなんだ」と伝えるだけで、相手は責められていると感じずに、一緒に工夫を考えやすくなります。

孤立しないために

50歳以上の、女性を好きになる女性(レズビアン)、男性を好きになる男性(ゲイ)、複数の性別の人を好きになる人(バイセクシュアル)2,439人を調べた研究があります。支えてくれる人がいることや、人とのつながりの広さは、健康状態の悪さや障害、心の病気(うつ)を遠ざける方向に働いていました(Fredriksen-Goldsen ら, 2013)。大きな調査ですが、ある時点だけを調べたものです。そのため、どちらが原因でどちらが結果かまでは分かりません。また、アメリカのデータです。

中高年の女性同士のカップルは、家族や職場に関係を話していないことも多くあります。そのため、どちらかが病気になったときに、頼れる人が少ないということが起こりがちです。同じ立場の人たちの集まり、第5章の相談窓口、同性パートナーの扱いを公表している医療機関の情報を、元気なうちから調べておくと安心です。

検診は年齢を重ねるほど大切に

受診の目安

閉経後の出血があったら、必ず婦人科を受診してください。国立がん研究センターは、次のように注意をよびかけています。子宮の奥にできるがん(子宮体がん)で、本人がいちばん気づきやすい症状は出血です。生理ではない時期や、閉経後の出血には注意が必要です。

性の多様性(LGBTQ)に理解のある婦人科を探すときは、第5章で紹介した「Ally表明医師マップ」で産婦人科の医師を探す、病院のホームページで取り組みを確かめる、といった方法があります。受診のときに「パートナーは女性です」と一言そえるだけでも、必要な説明を受けやすくなります。

ふたりで試すお題 「最近、からだで変わったと感じること」を一つずつ話してみましょう。そのうえで、ふたりの検診の予定を確かめ、次の受診日をカレンダーに書き込んでおきます。

参考にした資料

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