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第2章 からだのしくみと感じ方

⏱ 読む時間の目安:約6分

相手のからだを大切にするには、まずしくみを知っておくことが近道です。同じ女性同士でも、感じ方は驚くほど人それぞれです。この章では、外から見える性器と内側のしくみ、そして研究から分かっていることを、できるだけやさしくまとめます。

外から見える部分

外から見える性器(外性器・外陰部)には、いくつかの部分があります。いちばん外側のふくらみ(大陰唇)。その内側にあるひだ(小陰唇)。小陰唇が上で合わさるあたりにあるクリトリスの先端(亀頭)と、それを覆う皮(包皮)。その下におしっこの出口(尿道口)があり、さらにその下に腟の入り口があります。形や色、大きさ、左右の差は人によって大きくちがい、どれも「ふつう」です。

女性のからだ(外側)の名前 毛が生えるふくらみ(恥丘) クリトリスをおおう皮(陰核包皮) クリトリス(陰核亀頭) おしっこの出口(尿道口) 腟の入り口(腟口) 内側のひだ(小陰唇) 外側のひだ(大陰唇) 腟とおしりのあいだ(会陰) おしりの穴(肛門)
形・色・大きさは人それぞれで、どれも「ふつう」です。医療の資料をもとに、かんたんにして描いた図です。
クリトリスの全体の形外から見えるのは一部。多くは体の内側に広がっています ↑ 体の内側 ↓ 外から見える さきっぽ(外から見える)(陰核亀頭) つけね(陰核体部) 左右にのびる部分(陰核脚) ふくらむ部分(前庭球)
海外の研究をもとに、かんたんにして描いた図です。大きさや形は人それぞれです。

クリトリスは奥まで広がっている

外から見えるクリトリスは、全体のごく一部です。体のつくりについての文献をまとめた研究があります。それによると、クリトリスは、下腹の骨(恥骨)のアーチ部分に広くくっついた立体的なつくりをしています。先端のほかに、胴の部分(体部)、左右にのびる脚、腟の入り口の両側にあるふくらみ(前庭球)からできていることが示されました(O'Connell ら, 2005)。この研究から、よく見る教科書の図は、実際よりも単純に描かれていたことが分かります。ただ、これは文献と、体を調べた知見(解剖)をもとにした整理です。生きている人の感じ方のちがいまでは説明していません。

このしくみから、次のことが分かります。外側に触れると、その刺激は奥の組織にも伝わります。腟の入り口まわりへの刺激も、同じクリトリスの組織とつながっています。先端はとても敏感です。そのため、包皮の上から、あるいはまわりから触れるほうが心地よいと感じる人も多くいます。

内側のしくみ

腟は、入り口から子宮の入り口(子宮頸部)へ続く、伸び縮みする筋肉の管です。ふだんは前と後ろの壁が触れ合っています。興奮すると奥が広がり、うるおいが増えていきます。腟の中に触れられるのが好きな人もいれば、あまり好まない人もいます。どちらも自然なちがいです。

感じ方の個人差

アメリカの18〜94歳の女性1,055人を対象にした調査があります。性器への触れ方について、場所・強さ・動きの形・リズムの好みは、人によって大きくばらばらでした(Herbenick ら, 2018)。この調査は、国全体の姿を映すように選んだ回答者で行われていて、信頼できる度合いが高いものです。一方で、男性との性交を中心にたずねた質問が多く、女性同士の場面にそのまま当てはめるには注意が必要です。

だからこそ、「前の人はこうだった」「女性同士だから分かるはず」は通用しません。自分と相手のからだは別のものです。同じ人でも、その日の体調や生理の周期(月経周期)、気分によって、心地よさは変わります。

女性同士の性とオーガズムの研究

どの性別の人を好きになるか(性的指向)ごとに、気持ちよさの頂点(オーガズム)に達する回数を比べた研究がいくつかあります。

アメリカの大人5万人あまりを対象にした調査があります。親密な時間に「たいてい・いつも」オーガズムに達すると答えた人は、女性を好きになる女性(レズビアン女性)で86%、複数の性別の人を好きになる女性(バイセクシュアル女性)で66%、異性を好きになる女性で65%でした(Frederick ら, 2018)。この研究は人数が多く、性的指向ごとに比べられるのが強みです。ただ、ニュースサイトで自分から答えた人の調査なので、国全体を代表しているとは言えません。レズビアン女性は340人と少なめです。

「たいてい・いつも」オーガズムに達する女性レズビアン女性86%バイセクシュアル女性66%異性を好きになる女性65%
出典:Frederick ら(2018)。アメリカの大人5万人あまり(レズビアン女性は340人)。ニュースサイトで自分から答えた人の調査なので、国全体を代表しているとは言えません。

アメリカの独身の人2,850人を調べた別の研究もあります。なじみのある相手との性行為でオーガズムに達する割合は、レズビアン女性74.7%、異性を好きになる女性61.6%、バイセクシュアル女性58.0%でした(Garcia ら, 2014)。こちらは独身の人に限った調査です。自分の記憶で答える方式なので、実際の回数とずれている可能性があります。

Frederick らの研究では、女性全体でみると、ある特徴を持つ人ほど、オーガズムの回数が多い傾向がありました。口での愛撫(オーラルセックス)を受けることが多い、最後の性行為の時間が長め、してほしいことを相手に伝えている、関係に満足している、といった人です。ただし、これは「一緒に見られた」という関係にすぎません。どちらが原因でどちらが結果かまでは分かっていません。

なぜ性的指向で差が出るのかは、まだはっきりしていません。「女性同士なら必ずこうなる」という意味ではありません。バイセクシュアル女性の数字が低めに出ていることも含めて、ひとりひとり違うと受け止めるのがよさそうです。時間をかけること、してほしいことを伝え合うことは、どんな組み合わせのふたりでも試しやすい工夫です。

オーガズムはゴールではない

オーガズムがあってもなくても、心地よい時間だったと感じる人はたくさんいます。「相手をオーガズムに導かなきゃ」「自分も達しなきゃ」と思うほど、からだは緊張しやすくなります。ふたりで過ごす目的は、相手と心地よさを分け合うことです。達したかどうかを成績のように扱わないことが、次も楽しみになる時間につながります。

触れていて痛みや出血、強い違和感があるときは、無理をせずにやめましょう。続くようなら、女性の体をみる診療科(婦人科)に相談しましょう(第5章)。

ふたりで試すお題 手の甲や腕など、性器以外の場所で「強さ3段階」を試し合ってみましょう。「弱い・ふつう・強い」のどれが心地よいかを言葉で伝え合うと、相手の好みのものさしがつかめます。

参考にした資料

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