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同意と話し合い ― ふたりの時間は「確かめ合う」ことから

⏱ 読む時間の目安:約4分

男性同士の性には、決まった形も正解もありません。何をしたいか、何をしたくないかは人によって違います。同じ人でも、その日の体調や気分で変わります。だからこそ、いちばんの土台になるのが「同意」と「話し合い」です。この章では、同意の基本と気持ちの伝え方をまとめました。出会い系アプリで知り合った相手と会うときの安全についても、編集部がまとめています。

同意の基本は「その場で、そのつど、対等に」

国の役所である内閣府男女共同参画局は、性的な行為への同意について「一つの行為に同意をしたとしても、他の行為に同意したことにはなりません」と説明しています。また、相手と対等な関係でなかったり、嫌だと言えない状況だったりすれば、本当の同意があったことにはなりません。相手が異性でも同性でも、同意のない性的な行為は性暴力になる、とはっきり書いています(内閣府男女共同参画局, 2024)。

男性同士だと「男どうしだから言わなくても分かる」「会う約束をした時点でOK」と考えてしまう場面があるかもしれません。カナダで出会い系アプリを使う男性25人に話を聞いた研究があります。多くの人は同意の考え方を理解していました。一方で、自分の行動にいつも当てはめていたわけではなく、アプリでのやり取りそのものを同意と受け取る人もいたと報告されています(Dietzel ら, 2024)。少ない人数に話を聞いた調査なので、ほかの人たちにそのまま当てはめること(一般化)はできません。それでも、「分かっているつもり」と「実際にできている」の間にすき間が生まれやすいことを教えてくれます。

同意は「一回もらえば終わり」というものではありません。ふたりで何度でも確かめ合うものです。「これは大丈夫?」「ちょっと休もうか」と気軽に聞ける関係が、安心と心地よさにつながります。

したいこと・したくないことの伝え方

自分の希望を言葉にするのは、慣れないうちは照れくさいものです。始める前の落ち着いた時間に、次のように話しておくと伝えやすくなります。

断ることは、相手を嫌うことと同じではありません。断られた側も、自分が否定されたと受け取らずに「教えてくれてありがとう」と返せると、次から話しやすくなります。

役割を決めつけない

男性同士の性では、入れる側・受ける側という言い方がよく使われます(タチ・ネコ、どちらもする人はリバなどと呼ばれることもあります)。けれども、見た目や年齢、体格、性格から役割を決めつけるのはやめましょう。どちらもしたい人、日によって変わる人もいます。そもそも、おしりを使ったセックス(アナルセックス)をしない人もたくさんいます。好きになる相手の性別(性的指向)を表す言葉も人それぞれです。ゲイ、男性も女性も好きになる人(バイセクシュアル)、自分をどちらとも名乗らない人などがいます。相手の呼び方や希望は、相手に聞くのがいちばん確かです。

出会い系アプリで会うときの安全

アメリカとカナダの若い性の少数者(LGBTQ)の人50人に話を聞いた研究があります。アプリでの出会いの安全対策は、やり取りの段階、会う前の準備、実際に会う場面という流れの中で、状況に合わせて使い分けられていたと報告されています(Babcock ら, 2024)。また、アプリを使う男性たちが話し合う形の研究では、参加者が相手のプロフィールや言動から「注意信号」を少しずつ読み取っていたことが分かりました(Korovich ら, 2025)。どちらも少ない人数に話を聞いて中身を読み取る研究(質的研究)で、日本にそのまま当てはまるとは限りません。それでも、次のような準備は多くの場面で役に立ちます。

好きになる相手の性別を周りに伝えていない人にとって、写真やメッセージがもれることは大きな不安につながります。画像を送る前には、相手にどう扱ってほしいかを話しましょう。勝手に保存したり、ほかの人に送ったりしないことを、お互いに約束しておきましょう。困ったときの相談先は第5章で紹介しています。

ふたりで試すお題 次に会う前に、「今日してみたいこと」「今日はしたくないこと」「やめたいときの合図」を一つずつ、メッセージか口頭で伝え合ってみましょう。終わったあとに、合図が使いやすかったかを話してみてください。

参考にした資料

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