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鵯越え(ひよどりごえ)― よつんばいで後ろからの形

⏱ 読む時間の目安:約6分

四十八手「鵯越え」の姿勢の図。よつんばいになった人の後ろで、もう一人がひざ立ちになっている
青=主に動く側、ピンク=受け入れる側(図は姿勢の目安です)

読み:ひよどりごえ|形:後背位の仲間|負担が大きいのは:受け入れる側の手首・ひざ、後ろの人のひざ

鵯越えは、受け入れる側がよつんばいになり、後ろの人がひざ立ちで重なる形です。今でいう「後背位(バック)」の基本の形にあたります。背骨の動きを測った研究では、腰を曲げると痛む男性にとって負担の少ない形とされました。その一方で、陰茎の重いけがが多い形でもあります。良い点と注意点の両方を、研究をもとにまとめます。

名前の由来

「鵯越(ひよどりごえ)」は、源平の合戦(一ノ谷の戦い)で源義経が奇襲をかけた場面として知られる、神戸の地名です。後ろから攻める形をこの話になぞらえた、という説明がよく見られますが、確かな資料は見つからず、諸説あります。なお、四十八手には「鵯越えの逆落とし」という別の手もあり、こちらは口でのふれあいの形です(一覧)。

どんな形か

やり方(手順)

  1. 受け入れる側がよつんばいになる。手首がつらい人は、ひじをつくか、胸の下に枕を入れる
  2. ひざの下に枕やたたんだタオルを入れる。ふたりとも、ひざが硬い面に当たり続けないようにする
  3. 後ろの人が、受け入れる側の腰の高さに自分の腰を合わせる。合わない時は、低い側のひざの下にクッションを足す
  4. うるおいを確かめ、手で陰茎を支えて入り口に合わせる。受け入れる側が、自分で後ろに下がって迎え入れてもよい
  5. 最初は浅く、ゆっくり。この形は奥まで届きやすいので、深さは受け入れる側が「もう少し浅く」などと伝えて決める
  6. 後ろの人は、背中を丸めて腰だけで動くより、股関節から体を前後させるつもりで動く(下の「腰痛」を参照)

からだの負担と、身長差・やわらかさ

腰痛との相性(研究から) カナダの研究グループは、健康なカップル10組の背骨の動きを、動きを記録する装置で測りました。男性の背骨は、5つの形のどれでも主に「前に曲がる」向きに動いていました。腰を前に曲げると痛む男性には、受け入れる側がよつんばいになる形(この鵯越えに近い形)が最も負担が少なく、よく「腰にやさしい」と言われる横向きで後ろから寄りそう形は、逆に最も勧められない結果でした(Sidorkewicz, McGill, 2014)。研究者は、背中ではなく股関節を曲げ伸ばしして動く方法も勧めています。

同じグループが女性の背骨を測った研究では、よつんばいの形での女性の背骨は、主に「後ろに反る」向きに動いていました。腰を前に曲げると痛む女性には、手をついたよつんばいが勧められる一方で、腰を反らすと痛む女性には向かないとされています(Sidorkewicz, McGill, 2015)。腰を反らすと痛む人は、別の形(あおむけで向かい合う形など)を選ぶのが無難です。この形をとる時は、研究で確かめた方法ではありませんが、背中を反らしすぎない、浅く小さく動く、痛みが出たらすぐやめる、を目安にしてください。どちらの研究も、腰痛のない10組で測ったもので、腰痛のある人で効果を確かめたものではありません。腰痛の種類は人によって違うので、続く痛みがある人は医師や理学療法士に相談してください。

けがを防ぐ ― 陰茎折症に気をつける

勃起した陰茎が強く曲げられて、中の膜が裂けるけがを陰茎折症といいます。ブラジルの病院で90例を調べた研究では、後ろからの形が37例(41%)でいちばん多く、男性が上の形とともに、両側の海綿体が裂ける・尿道まで傷つくといった重いけがが多い傾向でした(Barros ら, 2017)。12本の研究、490例をまとめた2024年の分析でも、後ろからの形は、危険が高い形としてはっきり出ていました(Syarif ら, 2024)。別の42例の研究でも、男女の性行為で起きた28例のうち8例(28.6%)が後ろからの形でした(Reis ら, 2014)。ただし、どれもけがをした人だけを集めた研究で、この形をとった人の何人に1人がけがをするかは分かりません。

後ろからの形では、勢いよく動くうちに陰茎が抜け、戻る時に入り口をそれて、おしりや会陰(腟と肛門のあいだ)に強く当たることがあります。研究で確かめた予防法ではありませんが、次の点を守ると、そうした場面を減らせると考えられます。

「ポキッ」という音、急に萎える、強い痛みや腫れがあった時は、すぐに行為をやめ、泌尿器科か救急へ。尿に血が混じる、おしっこが出にくい時は尿道のけがの可能性があります。受け入れる側も、奥に強い痛みが出た時、出血がある時は止めて、続く時は婦人科に相談してください(第5章)。

同意と、止める合図

同意の基本は第1章にまとめています。

似た手との違い

ほかの手は四十八手の一覧から探せます。

こんな時に向く・向かない

参考にした資料

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