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性犯罪を許さないために ― 実態を知り、相談先を知り、周りが動く

⏱ 読む時間の目安:約7分

このシリーズの中で、編集部がいちばん大切だと考えている回です。性は、楽しい一人の時間にも、おたがいを大切にするふたりの時間にもなります。だからこそ、同意のない行為、性暴力、子どもを性的に利用すること(性的な搾取)、ひそかな撮影、性的な画像を広めることは、決して許されません。これは好みや価値観の違いの話ではありません。人の尊厳と安全を傷つける犯罪です。

この回では、性暴力の実態を数字で確かめます。そして、被害にあったときの相談先、画像をめぐる被害、子どもを守るしくみ、周りの人ができることを紹介します。

数字で見る性暴力の実態

内閣府が2023年11〜12月に、全国の18〜59歳を対象に行った調査があります。不同意性交等の被害にあったことがある人は、全体で4.7%、女性で8.1%、男性で0.7%でした。そして、被害を受けた人の55.7%は、どこにも相談していませんでした(内閣府男女共同参画局, 2024)。

不同意性交等の被害にあったことがある人棒の長さの目盛りは0〜10%全体4.7%女性8.1%男性0.7%
出典:内閣府男女共同参画局(2024)。全国の18〜59歳を対象に、2023年11〜12月に行った調査。

警察が把握した件数(認知件数)も増えています。2024年の不同意性交等の件数は3,936件で、前の年より45.2%増えました。不同意わいせつは6,992件でした。同じ年、ひそかな撮影などを罰する法律(性的姿態撮影等処罰法)に違反した件数は8,436件でした(法務省, 2025)。ただし、2023年の法改正で罰する範囲が見直されたことや、相談しやすくなったことも、数字に影響していると考えられます。そのため、「被害そのものがどれだけ増えたか」は、この数字だけでは言い切れません。

全国のワンストップ支援センターへの相談件数も年々増えています。2023年度は、前の年度より9.5%増えました(内閣府男女共同参画局, 2024)。数字の向こうには、声を上げられずにいる人が、まだたくさんいると考えるべきでしょう。

被害にあったとき ― ひとりで抱えないで

被害にあったとき、自分を責めてしまう人は少なくありません。けれども、悪いのは加害をした人です。服装やお酒を飲んでいたこと、その場に行ったことは、被害をしかたないものにする理由にはなりません。

ワンストップ支援センターは、いろいろな支えを、できるだけ1か所でつなぐ窓口です。たとえば、医療(妊娠を防ぐための緊急避妊や、性行為でうつる病気(性感染症)の検査、証拠を残すことなど)、相談や心のケア(カウンセリング)、警察への付き添い、弁護士の紹介などです(内閣府男女共同参画局)。警察に届け出るかどうか決めていなくても、相談できます。

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター
📞 #8891(はやくワンストップ)。通話料無料で、発信した場所から最寄りのセンターにつながります。NTTひかり電話からは📞 0120-8891-77。受付時間はセンターごとに異なり、時間外は「夜間休日コールセンター」で受け付けるセンターもあります。一部のIP電話からはつながりません。

警察の性犯罪被害相談電話
📞 #8103(ハートさん)。発信した地域の都道府県警察の窓口につながります。通話料無料、24時間受付。今まさに危険があるときは110番へ。

性暴力に関するSNS相談「Cure time(キュアタイム)」
毎日17時〜21時。年齢・性別・セクシュアリティを問わず、チャットで匿名で相談できます。外国語にも対応。https://curetime.jp/

法テラス 犯罪被害者支援ダイヤル
0120-079714(なくことないよ)。平日9時〜21時、土曜9時〜17時。支援機関の案内や、犯罪被害者支援の経験がある弁護士の紹介などを受けられます。

被害のすぐあとは、できれば体を洗う前や、着ていた服を捨てる前に相談すると、証拠が残りやすくなります。ただ、それができなかったとしても、時間がたってからでも相談できます。性犯罪で罪に問える期限(公訴時効)は、2023年の改正で延びています。

ひそかな撮影と、性的な画像の拡散

2023年7月から、性的姿態撮影等処罰法が始まりました。次のような行為が罰せられます。正当な理由なく、人の性的な部分や下着などをひそかに撮ること(撮影罪)。16歳未満の人のそうした姿を撮ること。撮った画像を人に渡すこと(提供罪)などです(法務省, 2023)。

付き合っているときに撮った性的な画像を、別れたあとにネットに公開するといった行為もあります。これは、2014年に始まった私事性的画像被害防止法(いわゆるリベンジポルノ防止法)で罰せられます。警察に寄せられた、性的な画像についての相談は、2025年に2,514件でした。法律ができてから、いちばん多い数です。相手は、交際相手(元を含む)が44.4%、ネット上だけの知り合いが33.4%でした。また、被害を受けた人の41.0%は19歳以下でした(警察庁, 2026a)。

自分の性的な画像を広められたときや、「ばらす」とおどされているときは、相手の言うことを聞かないでください。画面の記録を残して、警察(📞 #8103または最寄りの警察署)に相談してください。ネット上の画像を消してもらうことについては、法務局の「みんなの人権110番」(📞 0570-003-110、平日8時30分〜17時15分)や、「違法・有害情報相談センター」(ウェブで受付、https://ihaho.jp/)でも相談できます。

子どもへの性的な搾取は、決して許されません

子どもは、性的な行為の意味や危なさを、十分に判断できる立場にありません。子どもへの性的な行為や、子どもの性的な画像を作ること、持つこと、広めることは、どんな形でも深刻な人権侵害であり、犯罪です。

2025年に警察が把握した児童ポルノ事件で、被害を受けた子どもは1,273人でした。警察に摘発された人(検挙された人)の約6割は10代でした。SNSで知り合った相手から被害を受けた子どもは1,566人で、そのうち小学校に通う年齢の子どもの被害は、過去10年でいちばん多くなっています(警察庁, 2026b)。また、画像などを作るAI(生成AI)を使って、18歳未満の画像を性的に加工する被害の相談も、2025年1〜9月に79件寄せられました。加害者の約半数は、同じ学校の生徒だったと報じられています(日本経済新聞, 2025)。

2026年12月25日には、「こども性暴力防止法」(日本版DBS)が始まる予定です。学校や保育所、塾などで子どもと接する仕事をする人について、性犯罪の前歴を確かめることなどを事業者に求める法律です(こども家庭庁)。社会全体で子どもを守るしくみが、少しずつ整ってきています。

周りの人ができること ― 第三者介入

性暴力を目にしたとき、その場にいる周りの人が、安全なやり方で動くことを「第三者介入」といいます。よく知られている考え方に、次の「5つのD」があります。

こうした第三者介入の学びについて、15件の研究をまとめた分析があります。学びのプログラムを受けた人は、助けに入る自信や気持ちが高まり、実際に助けに入ることも増えていました(Kettrey & Marx, 2019)。警察庁も、被害を見かけたら見て見ぬふりをせず、「大丈夫ですか?」と声をかけ、駅員や警察に知らせるよう呼びかけています(警察庁)。

加害をしてしまいそうで不安な人へ

性的な衝動や行動を自分で止められず、人を傷つけてしまうのではないか。そんな不安を抱えている人もいます。加害を防ぐために専門家の助けを求めることは、とても大切な一歩です。

福岡県性暴力加害者相談窓口(県の公的窓口の一例)
📞 092-289-9398。平日9時〜17時、事前予約制。再犯防止の専門プログラムや、専門医療機関の紹介などを行っています。

精神保健福祉センター
各都道府県・政令指定都市にある公的な相談機関で、こころの健康や依存に関する相談を受け付け、必要に応じて医療機関を紹介しています。所在地と電話番号は厚生労働省の一覧で確認できます。

そのほか、性的な問題行動をくり返さないための取り組みをしている、民間の専門の医療機関もあります(多くは健康保険が使えない自費診療です)。別ページ「相談先・カウンセラーの案内」にまとめています。

参考にした資料