第8章 パイズリ ― 胸を使うふれあいの姿勢・うるおい・肌のケア
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「パイズリ」は、胸のあいだや胸の表面で、陰茎(ペニス)をはさんだり、こすったりするふれあいを指す呼び方です。挿入をしないふれあい(英語で「アウターコース」と呼ばれます)の一つです。この章では、姿勢、ローションの選び方、胸をつかう側のからだの負担を減らす工夫、胸の大きさに関係なくできる方法、話し合い、肌のケアをまとめます。このふれあいだけを調べた研究は、今回の検索では見つかりませんでした。以下の手順は、医療機関の一般的な注意と、経験者のあいだでよく語られる工夫をもとにした一例です。
はじめに大切なことを一つ。胸の大きさや形は人それぞれで、どれがよい・悪いということはありません。大きさによってやり方が少し変わるだけです。「できる・できない」で比べたり、相手の胸について否定的なことを言ったりするのはやめましょう。
始める前の準備
- 話し合う:してみたいか、どこまでするか、射精する時にどうするか(ティッシュやタオルで受ける、顔や目にかからないようにする、など)を先に決める。同意はその都度・一つずつ(第1章)
- 洗う:ふたりとも、胸と陰茎をぬるま湯で洗っておく。包皮がある人はむいて洗う
- ローションとタオル:手の届く所に。タオルを敷き、ティッシュとぬれタオルも用意する
- からだを見る:胸や陰茎に、傷・ただれ・できもの・発疹がある日はしない
ローションの選び方
胸の皮膚と陰茎の皮膚は、乾いたままこすると、赤くなったり、ひりひりしたりしやすくなります。ローションは「多すぎるかな」くらいがちょうどよいと言われます。
- 水性:洗い流しやすく、べたつきが残りにくい。乾きやすいので、途中で足すか、手のひらに少量の水をつけて伸ばし直す
- シリコーン系:乾きにくく、すべりが長く続く。洗い流すにはせっけんが要る
- 油性(マッサージオイル・ベビーオイル・ワセリンなど):すべりはよいが、ラテックスやポリイソプレン製のコンドームを傷めて破れやすくする(NHS; Sexual Health Bucks)。このあとコンドームを使う予定がある日は、油性を避けるか、ポリウレタン製のコンドームを使う。オイルを使ったら、コンドームをつける前に、せっけんでよく洗い落とす
- 香り・温感・冷感のもの:皮膚や粘膜を刺激することがある。初めは無香料のものを
姿勢と、胸をつかう側の負担を減らす工夫
胸をつかう側は、前かがみが続くと、首・肩・背中・腰が疲れやすくなります。陰茎の側が高さを合わせると、楽になります。
- 陰茎の側があお向け、胸をつかう側が脚のあいだにひざをつく:いちばん始めやすい形。陰茎の側の腰の下に枕を1〜2個入れて高さを上げると、胸をつかう側が深くかがまずにすむ
- 胸をつかう側があお向け、陰茎の側がまたがる:胸をつかう側は寝たまま楽にできる。陰茎の側は、ひざと手で自分の体重を支え、相手の胸やおなかに体重をかけない
- 陰茎の側がベッドのふちに座り、胸をつかう側が床にひざをつく:ひざの下にクッションを敷く。高さが合わない時は、胸をつかう側が低い台やクッションに座る
どの姿勢でも、胸をつかう側が「首が疲れた」「ひざが痛い」と感じたら、すぐ姿勢を変えるか休みます。数分ごとに手でのふれあい(第7章)に切り替えて休むのもよい方法です。
動かし方の基本
- はさむ形:胸のあいだにローションをたっぷりつけ、陰茎をはさむ。胸をつかう側が、手で胸を外側から内側へ軽く寄せて、はさむ強さを調整する。強く押しつけすぎない
- 動かす側を決める:胸をつかう側が上下に動かす、陰茎の側が腰を動かす、の2通りがある。胸をつかう側が疲れたら、陰茎の側が腰を動かす番にする
- 速さ:はじめはゆっくり。1つの動きを1〜2分続けてから、強さや速さを変える
- 確かめる言葉:「この強さでいい?」「胸、痛くない?」「姿勢、つらくない?」
胸の大きさに関係なくできる方法
胸が小さめで、はさむ形になりにくい時も、心地よいふれあいはできます。はさむことにこだわらず、「胸の表面と手を組み合わせる」と考えるのがコツです。
- 胸の表面でこする:ローションをつけた胸の表面や、胸のあいだのくぼみに、陰茎を押し当てて上下にすべらせる。胸をつかう側が上半身を少し前に傾けると、当たる面が広がる
- 乳首を当てる:乳首や乳輪を、陰茎の先端(亀頭)やその裏側の境目のすじ(陰茎小帯)に軽く当て、小さくすべらせる。どちらも感じやすい場所なので、強く押しつけず、ローションで乾かないようにする
- 手で圧を足す:胸に当てた陰茎を、胸をつかう側か陰茎の側が手のひらで上から軽く包み、胸と手のあいだではさむ形にする。手の圧で強さを細かく調整できる
- 手でのふれあいと交互に:胸でのふれあいと、手で包むふれあい(第7章)を交互にする。どちらも同じ時間の一部です
胸の大きい・小さいで、ふれあいの価値は変わりません。合う方法を、ふたりで探していきましょう。
肌のケア
- こすれ・ひりひり:乳首と乳輪の皮膚は薄く、乾いたままこすれると、赤くなったり切れたりしやすい。ひりひりしたら、その日はやめる。胸のしくみと乳首の皮膚の手入れは、姉妹サイトの胸で感じる一人時間へ
- 終わったあと:ぬるま湯でローションと体液を洗い流す。ローションや精液が皮膚に残ると、かぶれることがある。乾燥しやすい人は、香りの少ない保湿剤を
- 目に入らないように:精液やローションが目に入ったら、こすらずに水で洗い流す。痛み・充血が続く時は眼科へ
- 胸の変化に気づいたら:しこり、乳首からの血の混じった分泌物、治りにくいただれに気づいたら、刺激で様子を見ずに乳腺外科などで相談を(上のコラムにくわしい目安があります)
妊娠と性感染症について
- 妊娠:胸でのふれあいだけでは妊娠しない。ただし、精液や射精前の液(先走り)が手や指につき、その手で腟の入り口にふれると、まれに妊娠することがある(Planned Parenthood)。射精前の液にも、動いている精子が含まれていた男性がいた、という研究がある(Killick ら, 2011)。胸でのふれあいのあとに性器にふれる時は、手を洗う
- 性感染症:ヘルペス・HPV・梅毒は、皮膚と皮膚がふれるだけでもうつる(SMSNA)。挿入にくらべてリスクは低いものの、ゼロではない。胸や陰茎に、できもの・ただれ・発疹がある日はしない。検査と予防は第4章へ
ふたりで試すお題 次の時間に、まず「陰茎の側の腰の下に枕を入れる」だけを試し、胸をつかう側の首や背中が楽になったかを話してみましょう。強さは「10のうちいくつ?」と数字で確かめ合ってみてください。
この章の方法で必ず心地よくなる、という研究の裏付けはありません。胸や陰茎に痛み・傷・ただれが出たら中止してください。胸をつかう側に首や腰の持病がある時は、あお向けで行う形を選びましょう。